JAXA(宇宙航空研究開発機構)様は2020年12月6日、オーストラリアのウーメラ砂漠において小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還カプセル回収に成功しました。「はやぶさ2」ミッションにおける最後の関門が、広い砂漠で帰還カプセルの着地位置を特定する作業でした。
JAXA様は広大な着地予想エリア(150km×100km)を設定。そのエリアを取り囲むように5つの方向探索局(※DFS)を設置しました。DFSでは帰還カプセルが発するビーコン信号を受信、その到来方向を計測して本部に報告します。本部では各局で計測したビーコン到来方向を地図上にプロットし、その交点からカプセルの現在位置を推定します。この追尾をカプセルが着地する寸前まで行うことで、着地点を推定しました。
カプセルの現在位置・着地点を精度良く推定する為に、ビーコン到来方向を高精度に計測することが大きなミッションのひとつでしたが、この方角計測をするDFS局アンテナとして弊社製品が採用されました。
回収された帰還カプセルはチャーター機で12月8日早朝に日本に到着、JAXA宇宙科学研究所様(神奈川県相模原市)にある地球外試料キュレーションセンターに運び込まれ、「はやぶさ2」による小惑星リュウグウ探査ミッションは成功裏に終了しました。
※DFS:Direction finding system
DFSの設営。砂漠での作業は、気温が47度Cに達することもあった
DFS局向けアンテナとして当社アンテナがご採用されたのは、方向探索において水平方向にスタックしている左右のアンテナ特性が均等である事が重要であり、その点において「はやぶさ」のカプセル回収時にも当社アンテナをご採用いただき、高評価をいただいたことから今回のプロジェクトでも再度ご使用いただいております。
また、DFS局ではアンテナと同時に取付ポール・架台のご採用をいただいており、組立が容易であったことは現地での過酷な酷暑環境での作業を効率良く行う事が出来たことも高評価をいただいております。
当社はこれらのプロジェクト以外でも、JAXA様および関連衛星開発企業様の小型衛星へ搭載されたアンテナの実績があり、高いノウハウと技術力を有しています。
民間企業による衛星搭載観測機器の開発と実運用上の成功は、今後の宇宙開発における低コストでの技術向上の基盤となり、宇宙開発事業の推進を加速させることに繋がります。
当社においても、設計開発経験と知見の高まりにより技術力の革新要素が生まれ、優れた製品開発とさらなる信頼性向上に寄与できるものと考えております。